ワーキングメモリとは?鍛える方法からADHDとの関係、セルフチェックまで徹底解説

「また買い物で必要なものを買い忘れてしまった」「大事な話の内容がすぐに思い出せない」そんな経験、ありませんか?
日々の生活や仕事で感じるミスや忘れ事は、「自分がだらしないのかな」と不安になることもあるかもしれません。
でも、こうした困りごとは性格や努力だけでなく、脳の「ワーキングメモリ(作業記憶)」にも大きく関係しています。
ワーキングメモリは、情報を一時的に保存し、処理するための脳の機能です。
この力が弱いと、日常のタスク管理やコミュニケーション、仕事の段取りまで、さまざまな場面で小さな「困った」を生み出します。
また、注意欠如・多動症(ADHD)とも密接な関わりがあり、子どもだけでなく大人世代にも影響します。
本記事では、ワーキングメモリの基本からADHDとの関連やセルフチェック方法、そして鍛える実践的なステップまでやさしく、そしてしっかりと解説。
「毎日の困りごとを少しでも減らしたい」「自分の思考力を強化したい」――そんなあなたに、役立つ情報をお届けします。
ワーキングメモリ(作業記憶)とは?短期記憶との違い

日常の中で「やろうと思っていたことをすぐ忘れてしまう」経験はありませんか?
実は、こうした場面の裏で大きな役割を果たしているのが「ワーキングメモリ」です。
多くの人が聞いたことはあっても、実際にどんな働きをしているのかを詳しく知る機会は少ないかもしれません。
このセクションでは、ワーキングメモリの基本や、よく混同される「短期記憶」との違いについて、わかりやすく解説します。
ワーキングメモリ(作業記憶)とは?
ワーキングメモリは、「情報を一時的に脳に保持しつつ、その情報を同時に使って考えたり、判断したりする能力」を指します。
イメージとしては、頭の中にある「メモ帳」や「作業机」です。
例えば、買い物リストを頭で覚えながら、値段を計算し、どれを買うか決める——この一連の流れで活躍しているのがワーキングメモリです。
ワーキングメモリが働くおかげで、会話の流れを整理したり、教科書の内容を把握したり、仕事の優先順位を決めたりすることができます。
短期記憶との違い
「ワーキングメモリ」と「短期記憶」は似ていますが、本質的に異なる能力です。
短期記憶は、「聞いた情報を数秒〜数十秒だけ一時的に記憶にとどめる仕組み」です。
たとえば、電話番号をダイヤルするために一時的に番号を覚えておくようなシンプルな記憶です。
一方、ワーキングメモリは、「覚えた情報を活用しながら何かの作業を進める」という、より高度な処理と操作のステージに関与します。
つまり、短期記憶は「覚えるだけ」、ワーキングメモリは「覚えて使う」という違いがあります。
| ワーキングメモリ | 作業記憶。覚える・考える・判断するを同時に行う「脳の司令塔」。 |
| 短期記憶 | 「聞いたこと・見たこと」を数十秒保持する。working memoryの一部分とされることもある。 |
| 実行機能 | ワーキングメモリを含め、計画や自己コントロールなどの脳の中枢的な能力を指す。 |
日常生活でのワーキングメモリの役割
ワーキングメモリは、会話の理解、読書、複数のタスクの同時進行、計画、アイディア整理など、生活のあらゆる場面で発揮されています。
よく「脳の司令塔」や「作業台」と例えられ、頭の中の「効率」を大きく左右します。
ワーキングメモリが充分に働いていると、段取りよく物事を進めやすくなります。
逆に、容量オーバーになると、うっかりミスや物忘れが増え、パフォーマンスが落ちることがあります。
ワーキングメモリをきちんと理解すると、「自分のもの忘れは性格のせいじゃないかも」と、自分を責めすぎず対策に目を向けられるようになります。
【セルフチェック】あなたのワーキングメモリは十分?
「買い物リストを覚えたはずなのに、スーパーで肝心なものを買い忘れる。」
「人の話を聞いているのに、すぐに会話の内容が頭から抜けてしまう。」
こんな経験はありませんか?
これらは単なる「うっかり」ではなく、ワーキングメモリの特性が関係しているかもしれません。
ワーキングメモリがどの程度働いているかは、なかなか自分では気づきにくいものです。
まずは簡単なセルフチェックで、ご自身のワーキングメモリの現状を把握してみましょう。
ワーキングメモリが弱い人によくあるサイン
- 話している内容が途中でわからなくなる
- 複数の指示や手順を同時に覚えられない
- やることリストを作っても、抜け漏れが頻繁に起こる
- 読み返したばかりの文章の内容をすぐに忘れる
- 電話番号や数字を暗記するのが苦手
- 作業の段取りや優先順位付けが難しい
- 計算や暗算で途中の数字を保持できない
- 会話や会議中、すぐに話が逸れてしまう
- 物をよく失くしたり、何をどこに置いたか思い出せない
- 板書をすべてノートに写せない・抜けることが多い(子ども)
3つ以上該当する場合、ワーキングメモリが低下しているサインかもしれません。
ただし、「自分はADHDや発達障害なのかも…」とすぐに結論づける必要はありません。
睡眠不足やストレスなど、一時的な要因によってもワーキングメモリは揺らぎます。
また、日々の忙しさや加齢の影響も考えられます。
このセルフチェックは、あくまで「日常の困りごと」から自分の傾向を知るためのものです。
気になる場合は、今後の記事で紹介するトレーニングを日常に取り入れつつ、必要に応じて専門家への相談も検討してみてください。
ワーキングメモリが低い原因と発達障害(ADHD)との関係
「やる気が出ない」「段取りが苦手」「話や指示をよく忘れる」。
こんな状態が続いていると、自分の性格や努力不足を責めてしまいがちです。
しかし、実はワーキングメモリの働きが落ちているだけというケースが多くあります。
ここでは、ワーキングメモリが低下する原因と、発達障害(特にADHD)との深い関係について解説します。
ワーキングメモリが低くなる原因
ワーキングメモリの容量や働きは、生まれつきだけでなく、日常のさまざまな要因に左右されます。
下記のようなシンプルな原因でも、大きくパフォーマンスが変わることがあります。
- 寝不足...脳が十分に休めていないと、情報の保持・操作能力が落ちやすい。
- 強いストレス...精神的緊張や不安が続くと、効率的な情報処理ができません。
- 加齢...年齢を重ねることで、脳機能全体がゆるやかに低下します。
- うつや適応障害などのメンタル不調...意欲や集中力の低下とともに、ワーキングメモリも弱まります。
一時的な要因でも、生活の質に大きな影響を与えることを知っておきましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)との関連
ワーキングメモリの弱さは、発達障害と深くかかわっています。
特にADHD(注意欠如・多動症)の方は、情報を一時的に“頭の中にとどめておく”ことが非常に苦手です。
ADHDの主な特徴は以下のようなものです。
- 会話やプリント、口頭の指示を覚えていられない
- 作業を複数同時にこなしたり、手順を守ることが苦手
- やるべきタスクをすぐに忘れてしまう
これは「ただの不注意」や「怠け」ではありません。
ワーキングメモリの容量そのものが小さい、もしくは機能していないために起きる、ごく自然な現象です。
そのため、ADHDが疑われる場合は、医師や専門家によるサポートや、具体的な対策がとても重要です。
ASD(自閉スペクトラム症)・LD(学習障害)との関連
ASD(自閉スペクトラム症)やLD(学習障害)でも、ワーキングメモリに弱さを持つケースが少なくありません。
これらの発達障害の方は記憶や作業の進め方に特徴があり、サポートが大きな助けになります。
パフォーマンスの低下や忘れっぽさにも、必ず理由があります。
もし気になる場合は「周囲と比べて落ち込む」のではなく、「自分の脳の特徴かもしれない」と前向きにとらえましょう。
ワーキングメモリは日々の生活や工夫で、十分に補強できます。
大人がワーキングメモリを鍛える方法とトレーニング
日々の仕事や生活で「うっかり」「忘れっぽい」と感じることが増えてきた方も多いのではないでしょうか。
ワーキングメモリ(作業記憶)は、年齢に関係なく後天的に鍛えることが可能です。
「もう歳だから…」と諦めるのはもったいないこと。
脳にも筋トレと同じように、成長・維持する力(=可塑性)が備わっているのです。
このセクションでは、大人が今日からできるワーキングメモリ強化法について、くわしく解説します。
デュアルタスクトレーニング(二重課題法)
1つの作業だけでなく、「2つのことを同時進行」する練習がワーキングメモリの筋トレになります。
例えば…
- 歩きながら今日のToDoリストを頭の中で整理する
- 家事をしながら暗算や簡単な英単語のリストアップに挑戦する
- 好きな歌を聴きながら、曲中に特定の単語が出てきたら手を叩く
無理なくできる日常の中で、「意識して2つの作業を同時に行う」ことを習慣にしましょう。
生活習慣を整える
現代人は慢性的な睡眠不足やストレスにさらされがちです。
睡眠や運動、食事の質はワーキングメモリの機能回復・維持に直結します。
- 十分な睡眠時間(最低6〜7時間)を確保する
- 適度な有酸素運動や散歩を日常に取り入れる
- 間食や夜食を減らし、バランス良い食事を心がける
「脳を元気に保つ土台」は、やはり規則正しい生活から始まります。
デジタルツールを活用しすぎない
スマホやパソコンの「リマインダー」や「メモ機能」に頼り切ってしまうと、脳のメモ帳がサボりがちに。
意識的に頭の中で記憶・整理する余白を持つことで、ワーキングメモリは鍛えられます。
どうしても忘れそうなときだけデジタルツールに頼る「ハイブリッド活用」を工夫しましょう。
脳トレ・認知課題で脳に刺激を
市販のパズル、数独、記憶ゲームなど“ちょっと負荷がかかる頭の体操”を楽しむのも有効です。
加えて、英単語や数字を頭の中で並べ替える・逆から言ってみるなど、簡単なエクササイズを日常に取り入れてみてください。
大人になってからでも、ワーキングメモリを鍛える努力は十分に効果があります。
「意識して脳を使う」「生活の質を上げる」この2つを継続することで、“うっかり”や“物忘れ”が徐々に減っていくはずです。
できることから、今日から始めてみましょう!
子供のワーキングメモリを伸ばすには?(親御さん向け)
「うちの子、どうして何度言っても忘れるんだろう?」
「連絡帳を書き写すのに毎回苦戦している…。」
こんなお悩み、親なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
実は、それはお子さんのやる気や性格の問題ではないかもしれません。
学習や日常生活の困りごとの背景には、ワーキングメモリ(作業記憶)の特性が大きく関係していることが多いのです。
叱る前に、「支援が必要なサイン」かもしれないと捉えることが大切です。
子供のワーキングメモリに関するサイン
- 授業中、先生の説明についていけないことが多い
- 板書や連絡事項を書き写している途中で何を書くべきか分からなくなる
- 忘れ物・落とし物が多い
- 複数の指示を一度に覚えられない
- 勉強や作業中、よく気が散ってしまう
これらの特徴が目立つ場合、お子さんのワーキングメモリを伸ばす支援を意識してみましょう。
お子さんのワーキングメモリを伸ばす支援
遊びながらワーキングメモリを鍛えるアイデア
ワーキングメモリは、楽しみながら伸ばすことがポイントです。
日常の遊びにも、記憶力・集中力・同時進行力を高める工夫ができます。
| 遊び・ゲーム | 効果・ポイント |
|---|---|
| しりとり | 直前に出た単語を覚えて、ルールに従いながら発想を広げる。語彙力や注意力UP |
| トランプ(神経衰弱など) | めくったカードの位置と内容を記憶する。「記憶」のトレーニングに最適 |
| リズムゲーム | 音や動きを再現することで「順番」や「パターン記憶」の力を養う |
| 簡単なお手伝い | 「これを持っていって、戻ったらお皿拭きをしてね」など2段階指示を与えることで実践的に鍛えられる |
身近な「生活習慣」も鍛えるカギ
作業や宿題は「一度に一つずつ」指示する
連絡事項ややることリストは、目で見て分かるメモやホワイトボードで可視化
できたらしっかり褒めてあげて、小さな成功体験を積ませる
環境調整の重要性
ワーキングメモリに負荷がかかり過ぎると、子供はすぐに「できない」「苦手」と思い込みがちです。
なるべく作業をシンプルに、必要なことだけに集中できるよう、机周りの余計な刺激を減らすなど環境にも配慮を。
また、困っていることは学校側にも相談し、ノートのまとめ方や連絡事項の伝え方を工夫するようお願いすることも有効です。
「できないことを叱る」のではなく、「できるようになる工夫」を一緒に考える。
それが、お子さんの自信と成長につながります。
ワーキングメモリは、「伸ばそう」と意識することで必ず変化が現れる能力です。
焦らず、楽しく、そしてポジティブにサポートしていきましょう。
まとめ:ワーキングメモリを理解して人生のパフォーマンスを上げよう
ワーキングメモリ(作業記憶)は、単なる「記憶力」とは違い、仕事・勉強・人間関係まで日常のあらゆるパフォーマンスを左右する脳の根幹です。
この力は生まれつきだけに左右されず、日々の生活やちょっとした訓練で大きく伸ばすこともできます。
自分や家族・子どもの「脳のメモ帳」の特徴を知り、今日からできる小さなアクションを取り入れるだけでも、集中力・理解力・段取り力が自然とアップします。
ワーキングメモリは意識して鍛え続けることで磨かれる貴重な資源です。
まずは「睡眠」や「生活リズムの見直し」、歩きながら暗算など身近なデュアルタスクの実践から始めてみましょう。
コツコツ続けることで、仕事にも勉強にも、人付き合いにも「余裕」が生まれます。
もし、もっと効果的なトレーニングや具体的な単語力UPに挑戦したい方は、ぜひTANZAMの活用もおすすめです。
毎日の小さな変化が、自分らしい納得の成果につながります。
ワーキングメモリを味方につけて、より充実した毎日を手に入れましょう!


