てんとう虫 英語で?|ladybugとladybirdの違い・意味・由来を解説

公園や庭先でよく見かける、赤い羽に黒い模様のてんとう虫。
小さな子どもにも人気のこの虫、実は英語では「ladybug(レイディバグ)」や「ladybird(レイディバード)」と呼ばれています。
でも——なぜ“lady(女性)”や“bird(鳥)”が入っているの?
「bug(虫)」と「bird(鳥)」、どっちが正しいの?
そんな素朴な疑問を持ったことはありませんか?
英語では、地域や時代によって言い方が異なり、そこにはちょっとした文化の背景も隠れています。
この記事では、「てんとう虫」の英語表現の意味や由来、アメリカ英語とイギリス英語の違い、そして覚えておきたい虫の関連英単語まで、まとめてやさしく解説します。
読むだけで、「ladybug」の世界が少し身近に感じられるはずです。
基本:てんとう虫は英語で「ladybug」または「ladybird」
「てんとう虫」を英語で言うとき、実は2つの言い方があります。
アメリカでは “ladybug”、イギリスでは “ladybird”。
どちらも正しい英語ですが、使われる地域が違うだけなんです。
| 英単語 | 発音記号 | 主な地域 |
| ladybug | /ˈleɪ.di.bʌɡ/ | 🇺🇸アメリカ英語 |
| ladybird | /ˈleɪ.di.bɜːd/ | 🇬🇧イギリス英語 |
アメリカでは「虫」を意味する “bug” が日常的に使われるため、ladybug が定着しました。
一方、イギリスでは昔から「鳥」を象徴的に使うことが多く、ladybird という呼び方が残っています。
どちらも同じ昆虫を指しており、辞書でも “ladybird = ladybug” と説明されます。
語源:「lady」は“聖母マリア”を指す
“ladybug” の “lady” は、単なる「女性」ではなく、聖母マリア(Our Lady) を表しています。
ヨーロッパでは、てんとう虫が農作物を守る存在として「神の使い」とされ、
「Our Lady’s bird(聖母マリアの鳥)」と呼ばれたのが語源です。
その後、アメリカに渡る過程で “bird(鳥)” が “bug(虫)” に変わり、今日の “ladybug” という言葉が生まれました。
つまりどちらの表現も、「聖母マリアの虫」=幸運を運ぶ虫 という意味を持っているんです。
てんとう虫の由来と文化的背景
小さな体で農作物を守ってくれるてんとう虫。
実はこの虫、中世ヨーロッパでは「神の使い」と信じられていました。
聖母マリアと「Our Lady’s bird」
当時、ヨーロッパの農民たちは、アブラムシなどの害虫に悩まされていました。
ところが、赤くて小さなてんとう虫が畑に現れると、害虫が減り、作物が元気になる――そんな出来事が続いたのです。
人々はそれを「聖母マリア(Our Lady)が送ってくれた守り神」だと考え、てんとう虫を “Our Lady’s bird(聖母マリアの鳥)” と呼ぶようになりました。
この呼び名が短くなり、後に “ladybird” という単語に変化します。
新大陸での変化:「bird」から「bug」へ
その後、英語がアメリカへ渡ると、「鳥(bird)」よりも「虫(bug)」という言葉のほうが一般的に使われていたため、“ladybird” は “ladybug” へと変わっていきました。
どちらも意味は同じ。「聖母マリアの虫=幸運を運ぶ虫」という美しい由来が、今も受け継がれています。
今でも欧米では、てんとう虫はラッキーシンボルとして親しまれています。
誰かの服や手に止まると「幸運が訪れる」と言われ、英語ではこんな表現もあります:
A ladybug brings good luck.
(てんとう虫は幸運を運んでくる。)
カードやインテリア、子ども向け絵本のモチーフにもよく使われるのは、こうしたポジティブなイメージがあるからです。
例文で覚える「ladybug / ladybird」
英単語を覚えるときは、意味だけでなく「どんな場面で使うか」をイメージすることが大切です。
ここでは「ladybug」「ladybird」を使った基本の例文を、ネイティブの自然な使い方とあわせて紹介します。
| 英文 | 日本語訳 | 補足 |
| I found a red ladybug on a leaf. | 葉っぱの上に赤いてんとう虫を見つけた。 | 観察・発見を表す定番フレーズ。“on a leaf(葉の上で)”のような前置詞の使い方も覚えておきましょう。 |
| Ladybugs are considered lucky insects. | てんとう虫は幸運の虫とされている。 | “be considered 〜” は「〜と見なされる」という表現。文化的背景とあわせて覚えると印象に残ります。 |
| In Britain, people say “ladybird” instead of “ladybug.” | イギリスでは「ladybird」と言う。 | “instead of 〜”=「〜の代わりに」。地域による表現の違いを説明するときによく使われます。 |
- ladybug はアメリカの日常会話・子ども向け絵本などで頻出。
- ladybird はイギリス・ヨーロッパの英語でよく登場。
どちらもポジティブな印象を持ち、“good luck(幸運)”や“hope(希望)”の象徴として使われます。
映画や絵本では「A ladybug lands on your hand.(手にてんとう虫がとまった)」のような描写も多く、自然や優しさを表すシーンで登場します。
関連語で広げよう:虫の英語20選
英単語は、まとまりで覚えるほど定着します。
ここでは見た目・生態・役割でカテゴリ化。会話・英検・読書のどれにも効く実用セットです。
見た目がきれい/飛ぶ虫(4語)
| 英単語 | 発音記号 | 日本語 | メモ |
| butterfly | /ˈbʌtəflaɪ/ | チョウ | “a butterfly in the stomach”=そわそわする |
| moth | /mɒθ/ | ガ | 夜行性が多い。灯りに集まる性質も話題にしやすい |
| dragonfly | /ˈdræɡənflaɪ/ | トンボ | “dragon(竜)+fly” の造語感が覚えやすい |
| firefly | /ˈfaɪəflaɪ/ | ホタル | “fire” を連想して記憶フックに |
社会性のある虫(6語)
| 英単語 | 発音記号 | 日本語 | メモ |
| ant | /ænt/ | アリ | 勤勉の象徴。“ants”=群れで動くイメージ |
| bee | /biː/ | ハチ | “busy bee”=働き者 |
| bumblebee | /ˈbʌmbəlbiː/ | マルハナバチ | ふわっと丸い体型。受粉の話題と相性◎ |
| wasp | /wɒsp/ | スズメバチ類 | 攻撃的なイメージ。巣=“nest” |
| hornet | /ˈhɔːrnɪt/ | スズメバチ(大型) | “giant hornet” などサイズ表現とセットで |
| termite | /ˈtɜːrmaɪt/ | シロアリ | 木材を食べる害虫=“pest” の代表 |
甲虫(beetle)グループ(4語)
| 英単語 | 発音記号 | 日本語 | メモ |
| ladybug / ladybird | /ˈleɪdibʌɡ/・/ˈleɪdibɜːd/ | てんとう虫 | 幸運の象徴。米:ladybug/英:ladybird |
| beetle | /ˈbiːtəl/ | 甲虫 | 上位概念。種類名を前につけて分類 |
| stag beetle | /ˈstæɡ ˌbiːtəl/ | クワガタムシ | “stag(雄ジカ)”の角=大あごの比喩 |
| rhinoceros beetle | /raɪˈnɒsərəs ˌbiːtəl/ | カブトムシ | “rhinoceros(サイ)”=角を連想 |
草むら・畑・季節で出会う虫(6語)
| 英単語 | 発音記号 | 日本語 | メモ |
| grasshopper | /ˈɡræsˌhɒpər/ | バッタ | “hop(跳ねる)”で語源連想 |
| cricket | /ˈkrɪkɪt/ | コオロギ | 静けさの比喩 “crickets” にも注意 |
| cicada | /sɪˈkeɪdə/ | セミ | 夏の季語。鳴く=“sing/chirp” と表現 |
| praying mantis | /ˌpreɪɪŋ ˈmæntɪs/ | カマキリ | “praying(祈るような)”の姿勢が語源 |
| stick insect | /ˈstɪk ˌɪnsekt/ | ナナフシ | 枝に擬態=“camouflage” |
| aphid | /ˈeɪfɪd/ | アブラムシ | てんとう虫(ladybug)の“餌”としても有名 |
豆知識:てんとう虫の種類と色の違い
てんとう虫といえば赤に黒い斑点
──でも、実は世界には5,000種類以上のてんとう虫がいることを知っていますか?
英語でも、その種類や模様によって呼び方が少し変わります。
| 英語名 | 発音記号 | 日本語 | 特徴 |
| seven-spot ladybird | /ˈsev.ən spɒt ˈleɪ.di.bɜːd/ | ナナホシテントウ | ヨーロッパで最も一般的な種類。黒い7つの斑点が特徴。 |
| Asian lady beetle | /ˈeɪ.ʒən ˈleɪ.di ˌbiː.təl/ | アジアテントウ | 日本原産。アメリカでは外来種として広がり、家屋に入り込むことも。 |
| two-spot ladybird | /ˈtuː spɒt ˈleɪ.di.bɜːd/ | フタホシテントウ | 黒地に赤い点のタイプもあり、見た目が逆転していることも。 |
これらはいずれも「ladybird」「ladybug」「lady beetle」と呼ばれますが、
学術的には “beetle(甲虫)” の一種に分類されます。
つまり「てんとう虫」は、英語でいう beetle family(甲虫の仲間) に入るんですね。
色や模様のバリエーション
てんとう虫と聞くと赤を思い浮かべがちですが、英語圏では黒やオレンジ、黄色の個体もすべて “ladybugs” と呼ばれます。
| 色 | 例 | 英語での言い方 |
| 赤 | 赤に黒い斑点 | a red ladybug with black spots |
| 黒 | 黒に赤い斑点 | a black ladybug with red dots |
| オレンジ | 北米で多いアジアテントウ | an orange ladybug |
| 黄色 | 夏の終わりによく見られる | a yellow ladybug |
地域や季節によって見かける色が違うのも、英語で話すときの話題になります。
ちょっとした会話表現
Look, a ladybug landed on your hand!
(見て、てんとう虫が手にとまったよ!)
Some people believe that orange ladybugs bring good luck too.
(オレンジのてんとう虫も幸運を運ぶと信じる人もいるんだ。)
このように “ladybug” は色を形容詞で変えるだけで、身の回りの描写に使いやすい英単語です。
まとめ:「ladybug」をきっかけに英語の世界を広げよう
小さなてんとう虫を英語で言うと、“ladybug” または “ladybird”。
アメリカでは ladybug、イギリスでは ladybird と呼ばれています。
どちらの言葉にも、「聖母マリアの虫」=幸運の象徴という温かい意味が込められていましたね。
この単語は、自然や絵本の世界によく登場します。
たとえば “A ladybug brings good luck.”(てんとう虫は幸運を運ぶ)という表現は、英語圏では誰もが知っているポジティブなフレーズ。
英語を学びながら、こうした文化やイメージを知ることで、単語が「ただの訳語」ではなく、生きた言葉として心に残ります。
そして、「ladybug」から始めて、butterfly(チョウ) や firefly(ホタル) など、虫の英単語を少しずつ広げていけば、身近な景色を英語で語れるようになり、世界の見え方も少し変わってくるはずです。

